生徒インタビュー Vol.2 (4/20)


質問はVol.1と同じですが、脱線しながらもみなさんたくさん語ってくれました。

なるべくそのままの雰囲気が伝わるように修正などは最小限にしてお届けします。
※今回はフォントサイズを小さめにしています。


基礎科|木土コース| Class D

生徒
水口智彦 柘植名穂子 宝田芙由子 ヒルマアツシ

インタビュー
宮城毅 日笠隼人

 

—今日お集まりいただいたのは、基礎科の主に木・土コースに在籍しているみなさんです

お酒が好きな方達ですので、Sアトリエなじみの銀座界隈では格安で美味しい居酒屋「海賊」さんでインタビューをする予定だったのですが、金曜の夜だからか満席で入れず、さまよい歩いてここにたどり着きました。

ちょっとシュールで昭和レトロな「チカロ」さんからお届けします。よろしくお願いします。

 


Sアトリエに入学した理由

 

—まずはSアトリエに入ったきっかけから、順番にお聞きかせいただけますか?


いい仲間もできたし、信頼できる先生もいて。


 

水口
ぼくは最初セツに1年通ってました。

一緒に仕事をしているミュージシャンの奥さんから紹介してもらって。「あそこいいよ」って、「もうすぐ終わっちゃうよ」っていうのをギリギリに聞いて。

そんないい学校あるんだと急いで入ったのが絵を学び始めたきっかけなんですけど。

 

ぼくはグラフィックデザイナーをやってるんで、仕事の幅を広げるために入ったんです。

1年通って楽しかったんでこれで終わるのはどうかなと。どこかに行かないと絵も描きもしないし、家で仕事してるんで家からもあまり出ないと思って。

 

いい仲間もできたし、セツからの信頼できる先生たちもいて。ぜひぜひ行きたいなと思ってSアトリエに入学しました。

 

水口智彦さん(ファッション・クロッキーの授業)

このまま終わるのはすごい中途半端。だからもっと描こう。


柘植
わたしはセツで学んだ1年が納得が全然。

片足乗りかけてもいないくらいな感じの手応えしか自分には得られなかったので、このままで終わるのはすごい中途半端でなんとも収まりが悪いなと思って。

それでSアトリエにお世話になることに決めました。

 

柘植さんが絵を学ぼうと思ったきっかけは何ですか?

 

柘植
わたし、もともとすごい建物が好きで、曙橋に住んでる友達が「あなたの好きそうな建物がある」と言って、連れて行ってもらっていて。

それとは別にネットのニュースで「セツ・モードセミナーが閉校します」って知って。

仕事を辞めるつもりで上司に「行きたい学校があって……」と言ったら「あ、そう? 行けばー」ってすごい気楽に言ってもらったので。

じゃあ仕事しながら通おうと思って入学の案内をもらいに行ったんです。そしたら、前に連れて来てもらっていた建物で「ここセツだったんだ!」って。それで、この建物で勉強できるんだったらと。

 

柘植名穂子
柘植名穂子さん(風景写生会:外房の漁港でタブロー制作中)

 

 

柘植
前からセツは知ってたんですけど、イラストレーションとか雑誌の後ろの方に広告が載ってたのを見ていて、ぜひ行きたいと思ったのが元から知ってた建物だったので、これはもう行かねばならん! と思って。閉校するって言うので、もう今しかないと思って入りました。

見るのもすごく好きで。見るだけだと思ってたんですけど、もしかして自分でも描けるようになるんだったらそれは嬉しいなと思ったのがきっかけです。

 

—最初からみなさん語りますね。ちなみに建物の魅力は?

 

柘植
まず、建築のプロだったらやらないようなことをやっている。

全員
おお~。

柘植
余裕があるな~と。
建築専門外の人じゃないと多分ああいうものは作らなかっただろうなと。

中庭があって、そこにすごい乱暴に大っきい木が生えたりとか……(注:個人の感想です)

根っこどうするのかな? って。

耐用年数とか低くなるんじゃないかなって思って。土をどれだけ入れるかとか、その、コンクリートもどれだけ耐えられるかで変わってくると思います。

水口
柘植さんはコンクリートマニアなんです。

 

—それは知りませんでした

 

柘植
もともと自分の仕事が土木関係だったので。人力でどうにかしちゃうっていうのがすごいなと思って。

庭が欲しい! と思ったら無理やり作っちゃうみたいな感じで……ああゆう空間が欲しいのだというビジョンが先にあったんだろうなと思って。

心意気を感じました。絶対こういう場所でやりたいんだっていう強い思いがあったんだろうなと思って。


絵が劇的に変わった。どれだけ「脱皮」できるか可能性にかけて。


 

—では、宝田さんのSアトリエ入学の理由は何でしょうか?

 

宝田
理由もなにも続けるしかないと思ったのが一番の思いで。あのー、前の学校でも……。

 

—言いやすい呼び方で構いませんよ

 

宝田
では(笑)。

セツで劇的に自分の絵が変わったんで、これからどれだけ「脱皮」できるのかと、自分の可能性みたいなものにかけて。

まあ、ここで絵を辞めたら絶対後悔するって気持ちと、これからどんな絵を、銀座で、場所を変えたらどれだけ描けるかと、どんな風に変わるのかな? ってわくわく感で。

入るのにためらいはなかったです。

実際に変わりましたし。

 

—宝田さんがSアトリエに入ってからの1年で、さらに絵が変わっていったのはすごくわかりました。

 

宝田
筆さばきとか、色の混ぜ方とかもずいぶんと変えられたかなーって。

まだ変わってる最中なんで、これから一体何年かけて自分の絵が固まるのかわからないですけれども……これからもひたすら絵を続けたいなって思いでSアトリエに入りました。

 

—描き続ければ変われるって実感できたことは、大きな自信や希望になったのではないかと思います。

 

 宝田さんには参考に、最初の頃の作品などを見せていただきました。

 

 

 

宝田
セツに入学してから初期に描いたタブローなどですが、後半で掲載するSアトリエの卒業制作と比べると最初の頃は拙かったことがわかります。

 

ーなるほど。見比べてみるとよくわかりますね。提供していただいてありがとうございます。


決まっていた絵画教室から、急遽進路変更。


 

—宝田さんが絵を描こう、学ぼうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

宝田
美術部に大学の頃から入っていたんで、絵を描くこと自体は遊びみたいな美術部だったので、ちょっとやり残した感はあったんですけど……。

 

それで、会社に勤めるようになって絵を描こうと思ったのは、社外研修で行った日本エディタースクールで森本美由紀先生の展覧会のフライヤーが置いてあって。

 

えらい綺麗な絵だなって思って、弥生美術館の展示に行ったんです。そこでセツ・モードセミナー出身っていうのを見て、聞いたことのない名前だなって。知らなかったんですよ。

 

で、調べたら無試験で入れて、しかもすぐに閉校してしまう……。 あとはもう入るしかないなって。

 

アートワーク
宝田芙由子さん(Art Workの授業:制作中)

 

 

宝田
わたしの仕事は先生が作ったものを纏めて出版するっていうものなので、もっとなんか自分で作る作業っていうのもしてみたいなって。

 

そういう思いがちょっと溜まってたんですよね。作るのはもともと好きなんで。そうした思いも全部重なって、絵が好きってことと、つくりたいっていう気持ちがあって。

 

あと、森本美由紀先生みたいな綺麗な線が描けたらいいなっていう気持ちも重なって。でもその頃もう通う絵画教室が決まってたんで、二の足を踏んでたんです。

 

でもセツの先輩でセツ展で賞を取られた人の月光荘でやってた展示を見て、こういう森本先生以外の線もあるんだなっていうのも見て、いろんな絵の可能性が広がってそうなので、ここで、なんだろう……。

 

自分らしい絵っていうものが見つけられたら面白いだろうなと思って、絵画教室のくら替えを……決心しました。

 

直前で行き先を変更されたのですね。知りませんでした。

 

宝田
あんまり人に話したことないから……。


続けていったら、どんな絵になるんだろう。


 

—ではヒルマくんがSアトリエに入ったきっかけをお願いします。今は大学に行きながらSアトリエに通っているんですよね。

 

ヒルマ
はい。Sアトリエに入ったのは……セツの1年じゃ描き足りなくて……。

 

前回インタビューしたみなさんも、もっと描きたいっていう人がほとんどでした。

 

ヒルマ
なんか、そうっすね。
続けていったらどんな絵になっていくんだろうって……はい……そうっすね……。

大原漁港
ヒルマアツシさん 風景写生会(外房の漁港でアートワーク制作中)

 

もともと絵は描いてたのですか?

 

ヒルマ
ひとりで、ほんとに落書き程度に……というか、家で描いてるくらいです。描くのは好きだったんで。

柘植
ヒルマくんに「何がないと生きていけない?」みたいな話をしたら、「絵ですかね~」って。

全員
かーっこいい!

宝田
ちょっとキザじゃない?

水口
ロックだねぇ。

ヒルマ
そ、そこまでじゃないかもしれない……。

宝田
でも、落書きって言いつつ、かなり写実的な絵を家に飾ってるじゃない?

ヒルマ
はぁ……まあ……。
そういう絵をもともとひとりで描いてました……。

 

—では、Sアトリエのアートワークでは相当崩して描いているんですね?

 

ヒルマ
そんなかっこいいことしてないです。
……なんか、そうっすね。絵描こうと思っても、あんま、ないじゃないっすか。
絵画教室探してもなんか、ちょっと高齢の人の……ちょっと堅い感じの教室とか……。

宝田
私もそういうところに通ってました。

ヒルマ
学校の美術部行っても、アニメの絵を描く人とかがいて……シンプルに絵を描くっていうみたいなところが、あんまりなくて。

 

教えるのが難しいんだと思いますよ。言葉にしにくい部分が多いですから。

 

ヒルマ
あー。なるほど。
セツは、ほんと穴場というか……。

水口
結構メジャーだけどね。

ヒルマ
ぜんぜん知らなかった……。

 

—ヒルマくんは20代前半だから、世代的に知らなくてもおかしくないかもしれませんね。

 

柘植
うちの母が知ってました。
目黒にあるお裁縫を勉強する女子大に行っていて。あそこで絵の勉強をしている人が結構ダブルスクールの人がいたって言ってて。

学校を終わってダッシュで帰る人がいて、どこ行ってるの? って聞いたら四谷三丁目にそういう学校があってって。

 

—ヒルマくんもダブルスクールですが、大学では何を勉強してるんですか?

 

ヒルマ
建築です。

 

学校とSアトリエの両立はどうですか?

 

ヒルマ
建築は結構堅いんで……これやれない、あれやれない……って制約がいっぱいあって。そのフラストレーションみたいなものがあって。

 

それで絵を描くことでバランスをとっているのでしょうか?

 

ヒルマ
そうです。

柘植
でも建築で、絵ももともとプロ並みに描いてるっていう人もたくさんいますよ。ジョサイア・コンドルとか。鹿鳴館などを設計した。趣味とかじゃなくて本職くらい描けたっていう。


『河鍋暁斎』ジョサイア・コンドル著 山口静一訳
岩波文庫
(注:コンドルさんはそれまでの御雇い外国人教師と違い、日本が大好きで絵も大好きで、河鍋暁斎に本格的に弟子入りしてその絵の描き方、技法などを詳細に記録した本を残しています。柘植)

 

柘植
発散できるものが違うんですね。

ヒルマ
発散……そうっすね……。

宝田
たしかにセツは発散にもなってたかな。

編集も制約ばっかりなんですよ。カバーデザインとかも。うちは2色刷りがメインだから、もっといろんな色使いたいなーとかって……。

 

—ヒルマくんが絵を学ぼうと思ったきっかけは何ですか?

 

ヒルマ
……山本……耀司が好きで……自伝読んで。それでセツに。

 

『服を作る – モードを超えて』山本耀司著
中央公論新社

 


Sアトリエの授業について

 

—それではSアトリエに通ってからのことも、聞かせてください。

 みなさん1年ほどSアトリエに通ってみていかがでしょうか。好きな授業や授業について思うことがあれば教えてもらえますか?


 

宝田
全部好きだから決められない。

水口
イベントの後の酒とか。

 

意外と大事かもですね。普段話せないことを話せたりできますよね。

 

水口
人との出会いは大事。

柘植
あと、絵を描く人とお話しできることが、ここ以外だとまず皆無に近い。

ヒルマ
あー……ない……。

 


ちょっと脱線……。


 

水口
柘植さんとね、初めて話した頃になんだっけなあの車、オロチ?
オロチって車好きなんですよ。

柘植
すごい車があって……。

宝田
紫色してます?

水口
紫とかしてるし、緑とかあるし。いろんなバージョンがあるし。

宝田
それ富山の車かも。

水口
ヤマタノオロチみたいな顔してるんだよ。

宝田
蛇みたいな形の。

水口
そうそう。

宝田
あー、それうちの地元の車です!

柘植
すごいかっこいい車で……完全に狂っていて(※個人の感想です)

作る人のスピリットが溢れ出していて。多分買う人をすごい選ぶんですけど、そういう話もできなくて。ここにきたら話が通じて……。

水口
たまたま知ってたからいいけど、知らなかったら変な子だなって(笑)。

柘植
説明もなしに、すんなりああ、あれ! って。言ってくれる人がすごい多い。

水口
ぼくも、そこそこ好きなんですよ。

結構合う。高速道路好きだとか、あれ好きだとか。写真集貸してくれたりとか。

柘植
外部だとそういう話が説明もなしにできるってことはまずないので。

宝田
だって、超マニアックですもん。絵を描く人とかじゃないと興味持たないかも。

柘植
モノの形とか色とかにすごい興味がないと、ああってならない。

宝田
面白いねで終わっちゃう。

柘植
あーそういうのがあるんだーって。

ヒルマ
ふーん。

水口
よそだとたぶん、変わった子だなって。

柘植
えー、そんなことないよ。普通に話してるもん。

宝田
柘植さんすごい変! ……いえ面白い。

柘植
出さないように出さないように、てして。水面下で。

 

存分に出てますけど。

 

水口
すーぐしゃべってきたよ。オロチの話とか。

柘植
そういうお仕事だって聞いたから。車さわってたって。


アートワークの2時間は家では描けないものが描けるようになる、濃密な時間。


 

—みなさん、好きな授業の話をお願いします。

 

柘植
ああ、私はアートワークが好きです。

でもクロッキーも、毎日少しずつ積み重なる時間がこの間あって、そのー、描いてるうちに生きていてもしょうがないなって気分になったったことがあって、全然面白くないっていうか嘘ついてるなと。思っちゃって。

 

じゃあ、嘘つかないように描いたらどうなるんだろうと思って、そのー、はぁはぁいいながら一所懸命描いたんですけど。
そしたら、あ、これならって、これならいけるかもしれないっていうのが描けたことがあって。それで、毎日何も進展がないと思っても、少しずつ進歩するんだと思って。実感が得られて。

 

こんなにやってるのに全然進歩しないな、と感じてるときが頑張りどころではないでしょうか。


やり続けると、抜け出せるときが必ずきますので。それを体験すると、描くことがさらに面白くなっき
ますよね。

 

ヒルマ
あー。

柘植
あずき相場みたいに、少しずつ積み重なったらドーン! っというような絵を描いてて、なにやってるの、わたし? とか思って。誰にも見せられなくて、そのまま丸めて帰っちゃうこととかあったんですけど、クロッキーの時間にたまたまそういうことがあったんで、やっぱり毎日少しずつでもやろうと。

 

アートワークの授業は自分の家で描いていたらまず描けないものをかけるので。そこがいいです。
「これしか材料がないけど美味しいご飯を作ってくれ」っていわれてるようなもんで。え? 材料があれとあれ? これが足りないんだけどっていう状態でご飯を作るような感じで。

 

2時間でどうにか仕上げないといけないと思うとすごい必死になって、いつもは描けないものが描けるようになる気がします。すごい濃密な感じです。

 

あの2時間はすごい集中して考えますしね。

 

柘植

しかも前々から、こういう風になったらこういう風にしてって感じで、将棋を指すみたいに考えるんですよね。

どうやったら、早く自分の思った通りのものが仕上がるか、っていうのを前日の夜からずーっと考えてて。

ヒルマ
ふーん。

Art Workの授業風景(モデル:ヒルマさん)

 

柘植
で、さっきから話しかけてるんだけど、みたいな感じで一所懸命考えてて。でもその場になると、そういうことは全然うまくいかないんです。

でもひとりでやってるよりは、みんながいる場所でわっと描いたほうが思わぬものとかが描けて、やっぱり行く意味ってすごいあるんだなと思いました。

 


みんながどういう絵を描いたか並べて見たとき、宝箱を開けたような「わぁーすごい!」って。色が溢れてきているみたいだった。


 

アートワークは授業が終わったら講評がありますが、いかがですか?

 

柘植
わたし、まだすごい印象に残っているのがあって。

前の学校でみんなで同じモデルさんを見て描いたはずなのに、はじめてみんながどういう絵を描いたか並べて見たときに、宝箱を開けたような「わぁーすごい!」って、もう色が溢れてきているみたいな感じで。まだその光景が目に残っているんです。

 

みんながどう描いたかっていうのを目の当たりにできるっていうのは、あんまりないので。今はSアトリエしかないので、すごいありがたいです。
同じものを見ているはずなのに、同じ角度から描いたはずなのに、こんなに違うんだと思って。
見られる機会が滅多にないのでありがたいです。

 


Sアトリエでは美しいもの全般を作る、まとめる能力が学べる。


 

では宝田さんの好きな授業を教えていただけますか?

 

宝田
こんな話の後に話すのは……。

 

気にせずにお願いします。

 

宝田
どれも等しく重要なんで、どれがいいというのは言えないんですけど……そうだな、被らないように話すとしたら、うーん。

 

かぶっても別に構いませんよ。

 

宝田
そうですか。では。

わたし、クロッキーとあとワークショップが、自分の絵を変える上では結構重要なものだと思っていて、それらの成果をアートワークに生かすって形になってると思います。

 

というのも、クロッキーはわたし結構根をつめちゃうタイプなんで、あの休み時間が割と重要で、みんなと喋ったりとか、美味しいお紅茶を飲んだりとか。

 

ああいう遊びみたいな時間が合間にスッと入ることによって、気持ちの切り替えができて。そのあとに描いた線が柔らかくなってたりするんで、いままで理詰めでいろいろ描いてきて、今もまだその癖が抜けてないんですけど。
だいぶ自分の感覚っていうのを信じられるようになったのは、そういう遊びの時間があったからなのかな~って。

 

Workshop
Workshop の授業風景(ミニ絵本製作中の宝田さん)

 

 

宝田
あとワークショップはですね、毎回手を替え品を替えいろんなことを教わっているんで、実は展覧会とかZINEの販売とかっていうのをやらせていただける機会があって、実際にそれに生かすこともできたし。

 

あとそうですね、色使いの勉強も結構、その……セツらしさっていうのをずっと憧れにしてたんですけど、若干濁ってホワイトの効いた、それをどうやって作るんだっていうのが割と課題になっていて、そのきっかけをつかめたのはやっぱりワークショップの色彩の授業かなって……。
それ以来割と透明感のある色からちょっとマットな感じの色まで、使いこなせるようになったかなって。

 

あとデザインの授業とかも、本当に機械音痴だったので、ソフトをどうやって使うかって、今までは手探りだったんですけど、どの機能をそういう風に使えば思いのままの色合いに調整できるとか……。

 

あとあの~、水口さんから教わった黄金比とかも、実際に仕事のカバーデザインとかに役立ってます。

 

水口さんから教わった黄金比で描いたらAをもらったって、前の学校のときに喜んでましたね。

 

水口
黄金比大事だから。

宝田
黄金比の絵がセツ展に選ばれて。
あと黄金比で作ったブックカバーも書店で平置きでおかれているのを新宿のブックファーストで見たんです。水口さんさまさまです。

 

絵画教室とかだと描くことに集中って感じなんですけど、Sアトリエだと、なんだろうな、美しいもの全般を作る、まとめる能力が自分で学べるのかなっていうとこに非常に満足してます。

ヒルマ
ふーん。

 

すばらしいですね。

 

宝田
ちょっとよそ行きの回答になっちゃったかもしれないです。
でも、本心です。


ストリートスケッチが面白い。


 

では、ヒルマくんの好きな授業は何でしょうか?

 

ヒルマ
ボクは……あれっすね、スケッチ……。

あれ、街歩いてて面白い……。

しゃべりながら、気楽に描いて。あんまないんで……。

 

スケッチはある意味、絵を描く原点というか純粋な絵を描く行為ですね。

 

ヒルマ
なんか。そうっすね。ぼくは、一人じゃやれないんで……。

なんか、面白いじゃないっすか。

宝田
どんなところが?

ヒルマ
見せ合ったり……。ここ描いたんだとか……。

宝田
うん、そういうのいいよね。

 

夏の銀座スケッチ2017 (ヒルマアツシ)

 

ヒルマ
スケッチは楽しいっす。

宝田
偶然同じところ描いてたりとかね。

ヒルマ
そう。楽しいっす。


アートワーク談義。


 

—スケッチ以外の授業はどうでしょう?

 

ヒルマ
あー、アートワークはだんだん、だんだん、なんか、変に考えるようになっちゃって……。

 

それは最近ですか?

 

水口
知識が入ったんだよ。

ヒルマ
そーゆーことなんすか。

水口
あと、デッサンができるようになってきたから、崩せなくなったんだよ。

ヒルマ
あーなるほど。

 

Art Work 『ロマンス』ヒルマアツシ(788mm×545mm)

 

 

自分でうまくいったこととかも出てきて、それが気になって。前はもっと何も考えずに自由に描いてたのが、意識が行くようになったってことなんじゃないでしょうか。

だから「まてよ?」と立ち止まるのではないかと。

 

ヒルマ
あーなるほど。

柘植
あと、モデルさんがすごい綺麗だったりすると、わたし、うまくいかなかったりします。
あの美しさを! とかなんとか思っちゃうと……。

水口
わかるわ。

宝田
この間柘植さん、緊張するっておっしゃってましたよね。

柘植
うん。あわわわってなっちゃって、この美しさをちゃんと写しとらないといけないのだ! みたいな感じになって、胃とか痛くなってきちゃて……。

宝田
そんなに!

ヒルマ
ふ~ん。

水口
宝田さん描くとき、本人知ってるから、ちょっと綺麗に描いたろうかなって描くと、だいたい……。

宝田
綺麗に描くとかじゃなくて、そのまま描けば綺麗になるんです!

一同
……。

柘植
今の間は何?

 

経験がついてきて前より描きにくくなってきたり、いろいろ気を使うというのは成長してきてるっていう事でもあると思います。

 

ヒルマ
あー。

 

そこから自分で試行錯誤していくのは大変ですが、やりがいがあることではないかと。

その試行錯誤からオリジナルなものが生まれるのではないでしょうか。多分そこからもっと伸びますよ。

 

ヒルマ
あー。

 

これからもっともっといっぱい描いて。知識が今入ってきてるから。それを乗り越えたときに何か見えてくるんだと思います。

 

ヒルマ
そーっすね。
だからスケッチは楽しいんす。何も考えなくていいんで。

 

スケッチから本制作に移ることもありますか?これを絵にしようとか。

 

ヒルマ
それは……たまにある……。

スケッチでしか使わない道具とか。

 


イラストレーションの授業の課題が仕事に繋がった。


 

—水口さんは、いかがでしょうか。

 

水口
イラストレーションの話していいですか?

 

—ぜひ、お願いします

 

水口
イラストレーションの授業でモノクロの課題の時から、ぼく紙版画を始めたじゃないですか。

モノクロだから版画かな?って安易に始めたんですけど、仕事になってるんですよ。

一同
へ~。

水口
これですけど。
自分でデザインをしてるので。ロゴも紙版画なんです。

 

せっかくなので、掲載させてもらってもいいでしょうか?

※その後確認をしていただき掲載許可をいただきました。
TEAM6g 『愛される資格』5/23〜27上演 (デザインとアートワーク:水口智彦)

 

水口
いままでは写真を使ったデザインが多かったんですけど、打ち合わせで、最近紙版画やってるんで、今回はそれでいきたいんですって話したら、面白そうですねってなって。

 

いいですね。バランスも素晴らしいです。

 

水口
イラストレーションの授業のおかげで、仕事の幅が広がったかなと。

 

そういうところからみなさん経験を積んで成長してくれたら嬉しいですね。

 

水口さんは第5回東京装画賞にも入選されています。デザインとイラストレーションをお一人で製作されました。

 

東京装画賞入選作
第5回東京装画賞入選作品『バスカヴィル家の犬』装画と装丁 水口智彦

 

—5月に第5回東京装画賞の受賞作品展が日比谷図書文化館で開催されます。

水口さんの作品もご覧いただけます。
会期 5月9日(水)〜13日(日)

詳しくはこちらのサイトをご覧ください。


絵を見る目とモノの見方が変わった。


 

—では、仕事とか学業と絵の両立について気をつけてることとか、感じていることがあればお聞かせください。

 

柘植
わたしこれからちょっと縫い物をしようかと思っていて、そうすると色とか使う形とか面積についてすごい考えないといけないんですけど、今いる時点で、すごい考えないといけない事態になっているので、これはすごく役に立つな、っていうかそのまんま使えるだろうと。

街を歩いてたりしてもパッって目に飛び込んできた綺麗なものが、なんで綺麗と思って目に飛び込んできたのか? みたいな風にどうしてなんだろうと考えるようになって、物の見方が変わったので。

 

多分それは絵に現れてますよね。

 

柘植
そうですか。

あと人がすごい綺麗な絵を描いてきたとすると、どういう要素があるから綺麗だなと思って見るのかみたいな、エッセンスはどこにあるんだろうと思って見るようになったりとかしてるので。

それは他の分野に持っていってもおそらくそのまま使えるような感じの、物の見方だろうと。

ヒルマ
ふーん。

 

それはあるかもしれませんね。前の学校は卒業生がすごいたくさんいるじゃないですか。

写真家もいれば、絵を描く人もいれば、有名なデザイナーも。総合的にいろいろ教えてくれた気がしますね。

 

ヒルマ
ふーん。

 

絵だけじゃないなと思っています。

 

柘植
あとやっぱり、お洋服が好きで集まってる方も多いので。

ヒルマ
なるほど。

 


美しいものを見る目がすごく養われたなっていうのが大きい。


 

—宝田さんはいかがですか。

 

宝田
実は絵を始める前は本当に休み返上で校正や編集に「ガッ」と打ち込むということに価値や重きを置いてたので、そうすることが一番だと思っていたんです。

 

それでちょっと体壊しちゃって。それで、根詰めすぎるのも良くないなと思っていたときにちょうど絵っていうもうひとつ頑張るものができて。頑張るベクトルが全然違うんですよ。

 

1個1個文章を整えるのと、なんかこう「ガッ」と全体的に絵をまとめるのって違う脳を使うから、今やどっちも支えあってるっていうか、仕事を頑張っているから絵も頑張れるし、絵を頑張っているから仕事にも打ち込めるっていう。

 

1回休日に家にこもって絵を何枚も描くってことをやったことがあるんですけど、最初の1枚以外全部ダメになっちゃって、やっぱり何事もやりすぎは良くないなって、なんかバランスを、ヤジロベえみたいにうまく取れてる状態かなっていうのが今の状態。

 

あと柘植さんの話を聞いて感銘を受けたのが、やっぱり、美しいものを見る目っていうのがすごく養われたなっていうのが大きくて。

 

卒業制作展 ダーウェント賞 『メランコリィ』宝田芙由子(788mm×545mm)

 

 

宝田
わたしもともとお洋服が好きだったんですけど、着る服の傾向も絵を描く前後で変わったんですよ。

 

前は仕事の反動で休日はかわいらしさ重視の服をよく着ていたんですけど、なんか最近だと割と落ち着いたものっていうか、キラキラしまくったものではなくて、なんかちょっと質の良いものとか長く着れるものとか、そういったものに目が向いたのはやっぱりいろんな絵を見ていろんな価値観に触れて……。

 

うーん、あと周りにいる人たちの美的センスっていうのに触発されて変わったのかなって思います。

水口
洋服大好きだもんね。綺麗な格好してるもんね。

 

Sアトリエにはファッションにこだわってる人がたくさんいますね

 

宝田
でも見てくれより質を重視するようになったのは、Sアトリエには申し訳ないですが、セツでいろんなものが……うちの母が生まれた頃に建った建物だと思うんですよ、60年代ですよね。それがあんなに真新しい状態で残っているっていうのは磨かれた証拠なのかなって。

 

わたしも今持っている、モノに限らずなんでもそうなんですけど、磨いて育てていきたいなって思ったときに、やっぱりいろんなものを大事にするようになったと思います。

 

本質みたいなものを、無意識のうちに感じ取ったってことでしょうか。

 

宝田
心の底から変わっちゃったかもしれない。

ヒルマ
おお。


来て、描いて、帰る。シンプルで、通いやすい。


 

—ヒルマくんは理系だとレポートとかたくさんあって、Sアトリエも授業のほかに課題もありますから大変かと思います。
大学に通いながら、セツで1年、Sアトリエで1年学んでみてどうでしたか。

 

ヒルマ
絵を描くのは楽しいんで、そこはそんなに苦痛じゃないんですけど、でもなんか、なんだっけ……。

柘植
課題あるときは大変だよね。

ヒルマ
あーそう。
大学の課題があるときは来れなくなったりしますね。

でもしばらく来ないと来づらくなるっていうのがないじゃないですか。付かず離れずみたいな……距離感とか。

「来て」「描いて」「帰る」みたいなのはシンプルなんで、通いやすい。

水口
人間関係もいいね。派閥もないしね。

宝田
確かに、強いグループみたいなものはないですね。

水口
前の学校のときからそうだよね、うちらの同期は。

宝田
たしかにみんな仲よかった。

それで○展ができたというのはあるけど。(注:夜間部同期で開催したグループ展)

柘植
先輩とかもあー久しぶりーって、いつ来ても受け入れてくれる。

水口
先輩が優しい。

 

 

程よい距離感で。

 

ヒルマ
そう。そこが楽なんす。

柘植
自分の拠り所としてあそこに行けば誰かいるみたいな。

 

いいですね、あそこにいけば誰かいる。絵を描くことは孤独な作業ですから、ときどき仲間と会って。

 


こんなに描いていいんだ、こんなに自由に描いていいんだ、こんなことしていいんだって。


 

ーでは柘植さん、何か授業で印象的なことなどあればお願いします。

 

柘植
水彩はまざまざとこう、貼られて目の当たりにするので。

ヒルマ
あー、そうそう。

柘植
わー、こんなに描いていいんだ、こんなに自由に描いていいんだ、こんなことしていいんだって。

 

ある意味説明がいらないんですよね。貼り出してみんなで見ることで。

 

ヒルマ
なるほど。

 

見て明らかというか。

 

柘植
集まって描く意味って確かにあるんだなと、わーすごいって。他でそういう機会が、ほんとにほぼゼロなので。

水口
ないね。

柘植
あの大きさも。

 

大きさ、どうですか? あのサイズ(788mm×545mm)を授業で描くところはほとんどないと思うのですが。

 

柘植
今まで描いてたものは大きくてもA3とかだったから、最初何描けばいいんだろうって思ったんですけど、でも回数で慣れてくるので、今はあの大きさがないと狭いなぁって。

 

アートワーク
卒業制作展 優秀賞 『生きたものと死んだもの』柘植名穂子(788mm×545mm)

 

 

水口
講評も慣れてきた気がする。

昔は出したくなくてしょうがなかった。

 

わかります。

 

水口
話されたくもないし指されたくもないし、ずっと後ろの方で。

宝田
毎回探されてましたよね。

水口
宮城先生が探すの。

 

指さないでって空気を感じると、つい指してあげたくなるんです。

 

水口
前の学校のときはあまり人にいいって指されたこと、ないんです。

 

それは意外です。


見てくれている人が必ずいる。


 

柘植
あとは見た人が後でちらっと「わたし、あの空の色が好きです……」みたいなことを言ってくれたりとか。

水口
先生に褒められた後に話しかけてくれて、褒められた甲斐があったなって。

喋ったことがない人とか。もう一回見せてもらっていいですかとか。先生が褒めてくれるとね。

 

それは嬉しいですね。

 

宝田
私は半年くらい全然絵に評価がついてなくて、そのときも絵を描くモチベーションになっていたのが「芙由ちゃんのこういうとこ、よかったよ」って。誰かが、見てくれてる人がいて。

ヒルマ
あーそう。

宝田
絵に自信がない人も必ず見守る仲間がいると。

柘植
誰かが必ず見てくれてて。

水口
あーそうだね。

柘植
あとでちらっと、あれ良かったと思うーとか、何にも言われてなかったけどあれ好きだよっていうようなことを言ってくれたりすると、おうち帰ってふて寝するしかないってときでも、その言葉聞けただけでも出して良かったと思う。

 


アートワークの後、家に帰ってすぐ描き直す


 

水口
あんまり褒められなかったときとか、ぼくは家に帰ってすぐ描き直します。

 

—それはとてもいいことですね。

 

水口
飲んで帰っても、家でちょっと直す。

柘植
水口さんがそうするって言っていたので、わたしも先生に言われたように描いたらどうなるのかなと思って描き直して。

先生に言われた要素を全部描き終わった時点で、同居人が「はい、いいです」みたいなことをいうから。


やっぱりそうなんだなーって。

水口
ここちょっと重いかなとか、ここちょっと上下繋がってないかなって言われると、帰って言われた通り直すと、違うな! と思う。

あー中途半端だったなって思う。

宝田
そんな努力を!

柘植
見ていて嫌じゃない画面になる。見てなんかやっぱりそこらへんに置いとくとクルって裏に返したくなる絵とかあるじゃないですか。そういう絵が言われたような要素を全部直すときちんと収まった感じがするので、あーおさまったおさまったって。

 

あの2時間で仕上げるのって、ホント難しいんですよ、実は。


僕らは
客観的に観ることができるけど、実際に描いてるとわからなくなったりすることもある。だから、それはすごい勉強になってると思います。

 

2時間でこの大きい画面に描くって、実力を養うのにすごいいいんですよ。2時間で仕上げることができるようになったら相当です。

 

柘植
毎回へんな汗かきながら描いてるんですけど、描き終わったときに何が描きたかったんだかわからなくなってたりとか、自分が描きたかったものがちゃんと描けてるのかどうかわかんなかったりして、自分の絵、全然わからなかったりして。

だからやっぱり、講評で見ていただくと、これをこうすればいいんじゃない? っていうのは、やっぱり足がかりなので。

 


またちょっと脱線しつつ。


 

柘植さんの絵もSアトリエに来てからだいぶ奥深い絵になって来ましたね。突然変わった印象があります。

 

柘植
突然変わったのは……。

水口
パートナーができたらから。

柘植
静かに!

ヒルマ
……それだ。

柘植
描くのを筆からナイフに変えたっていうのもあって。

 

突然画面が強くなった印象があります。

 

柘植
でも強くなったのは自分ではわからない。

 

人から言われて初めて?

 

柘植
最近なんですか?

 

Sアトリエの後期に入ってから感じました。(注:後期は2017年10月~2018年4月)

 

柘植
水口さんのお嫁さんも絵を描くんですよね。

水口
あ、でも本気じゃないですよ。

 

いいですね。

 

水口
絵が好きで、僕より先にデザイン事務所入ったりとか。

一同
へえー。

水口
渋谷のデザイン専門学校に行って、その友達なんかと一緒に知り合って、その友達とかの影響で「あ、もうちょっと絵を描こうかな」ってなって、みんな絵描いてたから。

ヒルマ
ふ。

水口
「何やってんのお前? 飲み行こうぜ! 絵描いてるんじゃねえよ」ってノリがあるんで……。で、そのときぼく、自動車整備士だったかな。

絵もしっかり学んだことないから、やっぱ学校出てないっていうコンプレックスもあったしね。セツに入ったのも有名な学校出ておくのもいいかなって。

ヒルマ
なるほど。

 

聞かないとわかりませんね。

 

水口
そうですね。

柘植
水口さんの絵ってテツっぽいですよね。なんとなく。

 

テツ?

 

ヒルマ
あー。ははは……。

宝田
面白いな。

柘植
割と今までわからなかったことが、赤裸々になりますね。

 

全部は載せませんけどね。

 

柘植
あーそうだったんだーみたいな。

宝田
この子全然赤裸々になってない。

ヒルマ
いやいや……そんなこと……。


Sアトリエに入学を考えている方へ

 

そろそろ最後の質問に移りたいと思います。
これからSアトリエに入学を考えている人たちに何かメッセージをお願いします。

 


曜日別に分かれているので通いやすいし、コースが別の人とも交流する機会がある。


 

柘植
コースが曜日別に分かれているので、絶対顔を合わさない人がいるんじゃないかって思うかもしれないんですけど、交流する授業があるので。スケッチ会とが合同講評とか、それで仲間を見つけることが広くできるかなと。

 

—授業ではイラストレーションとクロッキー(Group)が合同授業ですので交流できますね。ほぼ毎月あります。

 

柘植
あと、曜日別に分かれているので、通いやすいと思います。

平日どうしてもダメだったら、日曜のコースもあるので、それで、通うのには全然不自由しないのかなって思いました。

 


いろんな絵の価値観が受け入れられる。それがSアトリエなのかなって思う。


 

宝田
入学を考えるからには絵を描くことが好きな人が圧倒的に多いと思うんですけど、私が描くのを志したきっかけって、全然なんか、ピカソとかゴッホとかどこがいいの? っていう状態から。今はもちろん……そういう画家の絵の良さはわかるし大好きなんですけど。

 

女の子向けのイラストがやっぱり一番好きで、あのー、流行りのそういうのが描けたらいいなって、割と軽い気持ちで始めたら、意外にそういう絵も好きだし、でももうちょっと違う絵も描けるっていうような気持ちも芽生えてきたので。

 

もちろんそういう絵で貫いている人もいますよね。一般的な絵画教室って割とガッツリと技法を学んで、なんか写実的にこういう流派があってとか多いと思うんですけど、なんかいろんな絵の価値観が許されるというか受け入れられるのがSアトリエなのかなって思うんで。

 

もうほんとおしゃれが好き、かわいいパッケージが好き、かわいいイラストが好きっていう人も、そういう仲間が欲しいので、来てください!

 

 


最初年上ばかりで怖かったけど、みんなやさしくて安心した。


 

ヒルマくんの同世代の人とか、絵が描けるところを探してる人に何かひと言お願いします。

ヒルマ
あー、僕、最初怖かったんすよ、なんか。

 

みんなヒルマくんより年上ですからね。

 

ヒルマ
年上だし、なんかプロばっかなのかなって……。
でも意外とみんなやさしいし、大丈夫でした。

 

—入学する人は今までガンガン絵を描いてきましたっていう人よりも、これから描きたいっていう人の方が多いですね。

ここでたくさん描いて上達していく感じでしょうか。

 

ヒルマ
そうっすね。

柘植
それと好きなものが一緒っていうのは強いなって、あーみんな仲間だって。で、やっぱり「好き」の分野が少しずつ違っているから、話するだけで広がる気がします。

ヒルマ
あと、絵描く人はだいたい性格いい……。

 

—あら、そうですか?

 

ヒルマ
それは……統計的に……。

あんま悪い人見たことがないです。

水口
絵描く人は観察力があるから、空気を読めるでしょ。そういう人多い。

ヒルマ
あーなるほど。

宝田
そういうことか。

水口
でも芸術家肌の人はイかれてるどね。

 

Art Work 『らっぱー』ヒルマアツシ(545mm×788mm)

 

 

ヒルマ
穏やかな人、多い……。

水口
そうだね。

柘植
岡本太郎的な人はいないですね。穏やかに愛するものを愛するというか。

 

—ヒルマくんも溶け込んでますね。

 

柘植
好きなものが一緒だから。

宝田
確実に同世代の大学生の中では世界が広がってる方だと思う。

BARにつれてってもらったりとかさ。ないよ普通。

ヒルマ
それは……楽しかった……。

柘植
年齢の差がずいぶんあっても、その差がこう……ネックにならない。


フリーランスで仕事をしているから、センスと情報が得られるこの場所がありがたい。


 

水口
ぼくは40過ぎてから来てるんですけど、子供もちょっと大きくなって時間もできたのもあるんですけど。

いいですね。

水口
で、仕事はグラフィックをやってるんですけど、フリーでやってるんでまだまだ幅を広くしないと食っていけないっていうのもあるんですけど。

それだけじゃなくて絵も好きで、思い切り描いたこともないんで、セツの頃思い切り描けて、Sアトリエにきても思いっ切り描けてるんで。

それはストレス発散と趣味の延長と、学校通ってないで家でいきなりでかい絵を描いたら、家族たちは「お父さん、おかしくなったんじゃない?」って思われるから……学校通ってるって建前があるから。

 

 

 

水口
あと、学校で本当にいろんな人と知り合って。多分、わかんないと思うんですけど、ぼくすごい人見知りなんですけど。

宝田
わからない。

ヒルマ
……。

水口
誰もわかってくれないんですけど。
ただ、下の子から上の方まで、懐いてくれたっていうか、ぼくが懐いたんですけど。よくしてもらって、すごくいいところだと思ってます。

 

フリーで仕事をしていると基本はひとりですからね。

 

水口
そうなんですよ。

 

—貴重ですよね、いろんな人との交流は。しかも絵を通じた交流ができる。

 

水口
そうなんですよ。それにセンスも広がるし、情報も入るし。

普段は仕事で家にこもっりっぱなしなんで。やっぱ、いろんな世代の人と話ができるっていうのもまた。

柘植
世代って言ったら20代から70近くまでいますよね。

水口
この間も塩田(同期の男性)と飲みに行って、彼28歳? 二人で飲み行ったりとかよくしますね。

宝田
入る前は表面的な綺麗さや可愛さっていうのにこだわっていたんですけど、本当に売れてるかわいい絵を描くイラストレーターとか絵を学んだら、実はすごい高度な色の組み合わせとかをしてるんだっていうのを今更ながら知って……学ばないといいものつくれないんだなーと。

柘植
場所も銀座だから、美意識の高い人が多いのかな。そういうものを見られる機会が多くなりました。

 

みなさん、たくさん話してもらってありがとうございます。あとはちゃんと録れていれば。

 

水口
録れてなかったら来週同じことしましょう。

 

—ははは。では録り直しは今度こそ「海賊」でやりましょう。

インタビューはこれで終了です。みなさん、ありがとうございました。

 


秋の風景写生会 (外房の漁港)水を汲みに来た柘植さんと1枚目を描きあげ次の写生場所に移動中の宝田さん。

 

 

柘植
……そういえば、私、芙由ちゃんが話しているときに思い出して。私中学の頃美術部に入っていたなって。油絵やってて。

水口
美術部入ってた人羨ましいんだよな~。

柘植
で、ナイフ使ったときに、我が家に帰ったような……「わぁ。これだ!」って。
水彩のあの、じわっと滲んだ描き方っていうのがまだ苦手で、バシッと濃い色で一発で決まってほしいっていう潜在意識があるみたいで……。

水彩の方がむずかしいですよね?

 

はい。水彩より油彩の方が簡単です。

 

ヒルマ
へぇー。

 

やり直しがききますから、油彩は

 

柘植
綺麗に被せられるから油彩は。

 

水彩が一番難しいですね。

 

柘植
過去の過ちって消せないじゃないですか。

水口
人間と一緒。

ヒルマ
ははは。

 

消すならガッシュのホワイトで。 

 

水口
ジェッソもね。

 

どうもありがとうございました。

 


インタビュー日時
2018年3月

脱線部分は、しばらくしてカットするかもしれません。

 

今回の会場
チカロ
東京都千代田区有楽町2-4-4
TEL: 03-3214-7931

チカロ

 

 

保存保存

保存保存